介護現場におけるリスクマネジメント

介護の現場におけるリスクマネジメントは、利用者を守ると同時に介護スタッフを事故などから守るためにもとても重要なことです。リスクマネジメントは、介護中に起こるかもしれない事故をあらかじめ予測しておき未然に防ぐことです。日頃から職員全員で時間を作って、リスク対策の検討会議などを開催し、その方向性や具体的な方法を全体で統一しておかなければいけません。

例えば入所施設の利用者さんの中に右半身マヒで歩行が自立していないにもかかわらず、一人でトイレへ行こうとする人がいるとします。動く時にコールをするように再三伝えても、本人はどうしても一人で行きたい気持ちが強いのと物忘れもあるためコールはしません。

この場合ベッドから一人で立った時やかろうじて歩けたとしても転倒するリスクがかなり高く、転倒による骨折や頭部打撲による頭蓋内出血を起こして寝たきりどころか命の危険さえも考えられます。

こういう時の対策として、拘束するような自由を奪う行為は全くの逆効果になるので必ず避けるべきです。したがってベッドから立ち上がった時に反応するセンサーマットなどを利用して、介護スタッフがこの利用者がベッドから降りようとした時にすぐに気が付いて対応できるようにしておくことが大切です。動いたことがすぐにわかって介助ができれば、立位や歩行が自立していないこの利用者を転倒事故から守る事ができます。

このようにしてそれぞれの利用者の起こりうる事故を想定した対応が、介護中の大きな事故を防ぎます。