介護業界では、まずは利用者となる介護を必要とする高齢者の安全を守ることを前提としたリスクマネジメントが行なわれていますが、それと同時に介護業務に就いているスタッフを守るものでもあることはご存知でしょうか。
介護におけるリスクマネジメントには、さまざまなケースが存在し、比較的多く見受けられるものには、施設の外に出て帰宅を希望する利用者や歩行がふらつくなどで移動に介助が必要なのに自力で行動する利用者、服薬を自分で行なう利用者に対してのリスクマネジメントがあります。
施設から一人で出て行ってしまうことが多い場合には、行方不明になったり、事故に巻き込まれたりなどのリスクがあり、自力で行動してしまう場合には、転倒して骨折などの事故に繋がるというリスク、服用に関しては飲み忘れによる病状の悪化などがリスクになります。
これらのリスクのための対策には、施設の出入口に施錠管理することや起き上がった状態になると反応する利用者に合ったセンサーを設置する、服用が終わるまで見届けるなどで対応が可能です。このケース以外にも、介護現場にはさまざまなケースがあるため、施設や事業所ではヒヤリハット報告書などでリスクマネジメントの情報を得て、事故リスクや対応策を確認して置くことが望ましいでしょう。
的確なリスクマネジメントを実践するには、介護現場で働くスタッフが同じ対策ができなくてはいけないため、同じ対策が行なえるための内容を考える能力も要求されます。このリスクマネジメント能力を向上させるためには、さまざまな介護現場でのケースに向き合い、ケースに応じた対応の経験を積み重ねることが重要です。